8 権利の風穴を空けて商標を獲得

 地域活性化の目的でスマホアプリで利用できる地域共通クーポンが利用されている。このアプリでは「QRコード」を使用するが、これはデンソーウェーブ社の登録商標であることをご存知であろうか?「QRコード」がフリーで使用できることは知っている方も多いと思うが、この言葉は使う際には、注意が必要なのである。例えば、開発した商用アプリに「QRコード」という言葉を使う場合は、デンソーウェーブに相談する必要がある。

 「Bluetooth」、「フロッピー」、「ポストイット」、「セロハンテープ」、「ポリバケツ」、「マジックテープ」、「万歩計」、「宅急便」、「テフロン」、「テトラパック」、「ウォッシュレット」。これらの言葉も同様に、登録商標なので使用する際には注意が必要である。

 商標は、特許庁の商標データベースである「J-PlatPat」を使えば、無料で調査をすることができる。商標は、権利が20年である特許と異なり、存続期間が事実上存在しない。いくらでも更新ができるのである。考えてみれば、例えば「SONY」という商標が、20年経つと使えなくなるということになれば「SONY」社にとっては致命的な問題となる。したがって、商標は10年毎に更新して、永久に権利を保持できるのである。これは逆に言うと、一度商標登録されると、放棄の意思がない限り永遠に存続してしまう。商標は、同じような言葉やロゴでは、2重で登録ができない。したがって、登録商標が増加すると、新しく商標を出願した場合に、先に登録された商標により登録が拒まれるのである。

 高千穂で新商品の菓子を売り出した佐藤さんは「かぐらの舞」という商標を出願した。しかし、東北の方が「神楽の舞」という商標登録を先に取得しており、両者は言葉が類似しているので特許庁から登録を拒まれた。そこで調べたところ、この東北の「神楽の舞」の商標は全く使用されていないようなので、この商標は使用されていないから、そもそも登録を取消してほしいと特許庁に請求した。登録商標は、登録から3年間経過しても使用をしていない場合に、登録を取消すように他人が特許庁に請求できるのである。この東北の商標権者には、特許庁から通知が送られ、「神楽の舞」の商標を使用しているならば、その証拠を送って欲しいと連絡する。これで証拠を送らなければ、登録商標が取消される。実際に、この登録商標は特許庁に取消され、佐藤さんは無事「かぐらの舞」の商標を獲得できたのである。このように、多数の商標が登録されている現在では、使用されていない商標を取消すことで、風穴が空き、貴社が商標を獲得できるのである。

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