9 商標が類似しているとは?

宮崎では「ひなた」という言葉が大人気の時期があった。焼酎、キャビア、お土産のお菓子、果実、漬物、水産物、なんでも、とにかく「ひなた」で商標登録したいという相談が集中した。

商標は早いもの勝ちであり、2重重複での登録は許されない。例えば、「ひなた」を誰かが「焼酎」で登録したら、他人は「ひなた」を「焼酎」で商標登録できない。では、「HINATA」なら登録できるのか?我々弁理士の判断基準は、その類似商標が、焼酎が販売されているスーパーの棚に並んでいる際に、異なる生産者であることを識別することができるかで判断する。スーパーの芋焼酎の棚に「ひなた」、「HINATA」、「ヒナタ」のラベルがあって、これらが識別されて、異なる会社から製造されたものと認識するのは難しいと考えるのが一般的であろう。したがって、これらは類似する商標とされる。このように、ひらがな、カタカナ、ローマ字、大文字小文字等の変換のみでは、社会通念上同一と見られて、商標は同一又は類似と判断される。この類似の判断基準は、3つあり、呼び方、外観、意味の3つを総合的に判断される。「HINATA」と「ヒナタ」は呼び方がほぼ一緒であるが外観が異なる。しかし、呼び方が外観よりも識別する比重が高いと考えられ、両者は類似と判断されるのだ。日南では「日南」を「ひな」と呼ぶが、商標を出願する際に、「日南(ひな)」として出願すると、鳥の「雛」と類似となるが、呼び方を記載せずに「日南」とだけ記載すれば、類似とはならず登録ができる。出願する際の態様も登録には重要である。

 次に商標で重要なのは、指定する商品・サービスである。朝日新聞とアサヒペイントは、「アサヒ」で共通するが、それぞれ、商標を取得できる。これは、「アサヒ」という言葉を、前者は商品「新聞」で登録し、後者は「塗料」を登録しており、商標を指定する商品が異なるから、両方とも登録できるのである。

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