10 地名+名称でも商標が取れる?

 「宮崎牛」、「青井岳温泉」のように普通に使われる言葉は、商標を取得できるのか?このように、地名+商品やサービスの普通名称からなる言葉は、どの企業も自分だけが独占したい言葉であり、欲しくなる言葉であろう。畜産会社が一社だけが「宮崎牛」を使って良いという状態になれば、それ以外の会社は大変な損失になる。しかし考えてみれば「宮崎牛」という言葉をブランド化するまでには、多くの企業や行政が関わっており、一社だけで独占するのは不平等である。そこで、地域団体商標という制度で一定の団体や事業協同組合、商工会議所等のみがこういった言葉の権利を取得できるとした。各企業は、これらの団体や組合に加盟して、商標を使うことができる。これが実は王道であって抜け道がある。鹿児島肝付町のシャツメーカーは、商標「鹿児島シャツ」を商品「衣服」で登録したのだ。

この言葉も、地名+商品の普通名称からなるので原則、地域団体商標でないと登録ができない。しかし、登録されたのは、鹿児島シャツという言葉とともに特徴的な蝶のロゴが付いてるからである。地名+普通名称の商標の抜け穴としてロゴ付きで出願することで商標が取得できる場合があるのだ。この場合、商標はこの「鹿児島しゃつ」という言葉のみではなく、蝶のロゴを含めたものでないと商標として権利行使等ができない。すなわち、言葉のみを真似された場合、商標の効力として充分ではない場合がある。しかし、商標登録はされるため、海外で効力を発揮することがある。日本の商品を海外で販売する際に、日本での商標登録が、その商品の本来の生産者であることを公的に示す証拠になる場合があり交渉において重要になることがある。商標の権利効力として必ずしも充分ではなくても、交渉の手段として登録商標が有効に働くことがある。

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