12 宮崎のスタートアップについて

先日の特許相談では、流暢な英語で発明の説明が始まった。遥か米国ボストンから西都市に移住してきた合同会社クロップウォッチの代表ケビン・ケントレルさん。彼は、米国でGAFAMでの職を断って、日本で農業IoTを発展させたいという想いで宮崎に来られた。同様に流暢に英語を話す奥様(池水さん)とまだ30代の二人。穏やかで謙虚でありながら知性溢れる二人の姿を見れば応援したくなる気持ちは抑えられなくなる。

 彼らの知的財産は何か?ケビンさんがグローバル視点で宮崎の農業等の現場を解決するためのアイデアを発想する点が最大の強みであり、これで特許を出願したり、実用新案を取得している。そして、それらのアイデアを事業化するために、半導体等のチップに直接プログラミングを行えるデバイス開発力があり、クラウドサーバ及び通信回線網までも自身で保有し、Webアプリケーションも自身で開発できる。すなわち、自分のアイデアを、アップルのような会社と同様のICT総合サービスを自前で提供できるのである。したがって、彼らは、現在、熱中症対策のスマートウォッチを開発中であるが、これは、GAFAMのような企業のクラウドサーバを利用することなく、クロップウォッチ社のみのクラウドサービスでサービスを提供できる。そのため、結果的に安価に提供できるし、データを大手企業に漏洩させる心配もない。

 また、通常、ICT企業は、IoT機器で新サービスを提供する際に、一般に販売されたIoTデバイスを買い、そのデバイスメーカが提供する制御プログラムを利用して開発を行う。しかし、ケビンさんは、そのデバイスの制御プログラムを自身で開発できるため、デバイスの性能を高めたり、改良することができる。これにより、例えば、彼らが提供するクロップウィッチというIoT監視装置は、通常の装置よりも電力消費が少ないCPUを利用して、安価に製造できるとともに、電源を必要とせず、太陽光とバッテリーで装置を稼働させることができる。宮崎のハウス農業や工場の現場で利用されることを期待したい。

 まだまだ、他県の動きと囚われがちのスタートアップであるが、こんな初々しい会社が宮崎にあることを知って頂き、応援して頂きたい。

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